| Home | 3mikan | 3us-D | 2011 | Tabi | Food | Railbook | Zero mile | Cardboard | Mo41057 | 525600 | Pins | Jamaica |



3行アメリカ Sports 特別編




さよならカレッジ 9.29.2003

WUSA活動停止によせて> 正式に活動停止が発表されたアメリカ女子サッカー・リーグ(WUSA)について、(ひ)(ま)家の思い出話を少し紹介します。

2年前の春、創設されたばかりの女子サッカー・リーグの試合を見に行ってアパートに帰り着くと、そこにも汚れたスパイクを手に疲れた顔で家へ戻る女子サッカー選手がいた。「?!」。そう、(ひ)(ま)の住むアパートメントは、何と地元チーム「カロライナ・カレッジ」の「借り上げ寮」にもなっていたのだ!主力選手ではなく若手や補欠選手が主な住人のようで、夕方あちこちで筋肉トレーニングに励む姿もよく見られた。5月、アパートのプール開きパーティーで紹介されたカレッジのメンバー達は筋肉隆々のたくましい若者ギャルズ達で、服のままプールに飛び込むなど、たいへん威勢が良かった。中に一人だけスリムな美人がいて、公式ホームページで調べるとフロリダ出身のサラという補欠選手。「要チェックだね」と言いつつも、サラちゃんの試合出場の機会はほとんど無かった。つまり、試合前の練習で動きを見ていてもやっぱり下手くそなのだ。その頃、我々はホームでの試合(UNCのキャンパスであっていた)には欠かさず足を運ぶようになっていた。ワールドカップ・アメリカ大会の成功と人気を受けてのリーグ発足だけあって、ゲームには小・中学生の女の子達がわんさか詰め掛けており、もともとUNCは女子サッカーの強豪だったこともあり、女の子のための新しいプロスポーツ誕生!私も将来はプロサッカー選手に!という熱気ムンムンだった。試合の内容といえば、まあ「女子高生サッカー」と呼ぶのが妥当なレベルではあったのだが。

courage1 courage2
(ひ)(ま)とCourageのギャルズ達 *1年目は UNC のサッカー場が本拠地でした


このカロライナ・カレッジを引っ張っていたのが、ワールドカップのアメリカ代表チームキャプテンだったカーラ・オーバーベック(UNC出身)選手。彼女だけはケタ外れに上手かった。時には怒鳴りまくりながらメンバーを引っ張ってゆく彼女、引く手あまただったろうにどうしてこんな弱小チームにいるんだろう?というのがかねてからの疑問だったが、ある日その理由が判明。スポーツ用品店で買い物を終えた(ひ)(ま)が、駐車場から車を出そうとすると後ろに人影が。通り過ぎるのを待っていると、にこやかに片手を上げて挨拶し、子供の手を引いてスポーツ用品店に入っていったのはまぎれも無くカーラ本人だった。「何でカーラに子供がいるの?!」という我々の疑問は、公式ホームページであっさりと解決した。カーラのプロフィールを読むと、チャペルヒルで複数のレストランを経営する男性と結婚し、4歳の子供がいるという。子持ちで世界大会に出場し、次はプロリーグ・チームのキャプテンを務めているなんて!確か年齢は30代中頃のはず。自然に結婚・出産を経て、それでも第一線で活躍している本人のたくましさと、実力を素直に認める周囲には驚きを隠せない。日本の女子スポーツ選手を取り巻く状況とは随分違うんだな、と素直に感心した。そんなカーラのおかげもあってか、次第に試合の中で活躍する選手も出はじめた。名前を覚えるのが面倒なので、勝手にあだ名をつけて応援する(ひ)と(ま)。とにかく背が高くて目立つが肝心なところで凡ミスを犯すFW通称デク(=木偶の坊)選手、落ち着いた風貌どおり冷静なアシストがさえる司令塔MF通称ママ選手、150cmの小柄な体で果敢に相手にぶつかる左サイドバックの通称豆タンク選手、などなど。

また我が家のドアのお向かいにもカレッジの選手が住んでいることが判明。男と見間違うような容貌の補欠ベス選手、そしてお世辞にも美人とは言えない補欠キーパーの通称ブス子ちゃん(ゴメン!)選手。そのうち顔見知りになって、試合に勝った時はお祝いのカードやバルーンを渡したりもするようになった(ま、本人達は出場していないのだが)。そんなある日、(ま)が家のドアを開けるとお向かいのドアも開き、そこに立っていたのは美人のサラちゃん選手ではないか!余りの驚きに(ま)が発せた一言は、今考えても恥ずかしい「ア、アー・ユー・サラ?」。2人が住んでいると思った部屋には、何とベスとブス子ちゃんとサラちゃんの3人が住んでいたのだった。なるほど、度々行われていたパーティーに集まっていた男の子達は、みんなサラちゃん狙いだったのね。「私ね、毎回カレッジの応援に行っているの!」と興奮して喋る(ま)に、彼女は優しく微笑んで「ちょっと待っててね」と部屋に戻り、何やら手渡してくれた。見ると今週末の試合の、年間予約席チケットが2枚。驚く(ま)に、「じゃ、今週末の試合、応援に来てね!」と言い残して去っていったサラちゃんは、やっぱり美人だった。しかし困ったことに、今週末は旅行に出かける予定が、、、でも、こんな良い席自分達では手に入らない、という訳で旅行を早めに切り上げ、5時間車をぶっ飛ばして間に合った試合もカレッジはあっさりと敗北。ゲーム後、サラちゃんにお礼を言いにベンチの近くまで行ってみると、サラちゃんは男友達と「ねえ、今日の晩御飯どこに食べに行くのー?」と勝負の後とは思えない、のんきな会話を交わしていた。サラちゃん、選ぶ職業間違えちゃったかも。

courage3 courage4
サラちゃんにもらったチケットの席から * 「今夜どこ食べ行く〜?」と談笑するサラちゃん


さてさて、近所の若手ギャルズ達はでっかいRV車を乗り回し、誰かが新車を買ったといっては箱乗りし、違法駐車エリアに駐車してはチケットを貰い、ベスは車にカヌーを積んで毎週お遊びに夢中、といった調子。カレッジが連敗を続けるのもむベなるかな。そんな中での唯一の明るい話題は、お向かいのブス子ちゃんがある日試合に出場し、なかなかの働きをしたおかげで、今や押しも押されぬレギュラーゴールキーパーになっていることだった。そんなこんなで、最下位に終わった初年度のカレッジ最終戦、悔しそうに短いコメントをするカーラと花火を目に焼き付けながら、我々のカレッジと過ごした夏も終わった。その後、カレッジは本拠地を新しいスタジアムのあるケアリーに移し、選手達の「借り上げ寮」契約も終了。お向かいのサラちゃんはトレードに出され、ベスは行方知れず、ブス子ちゃんは正キーパーとして活躍。メンバーの入れ替えが功を奏してか、カレッジ自身も2年目は大躍進でリーグ優勝を果たした。今回のリーグ活動休止が、それぞれの選手達に与える影響は大きいだろう。2001年の夏を同じアパートで、フィールドで過ごした選手達の、新しい道での活躍を願っている。(ま)


(ひ)のコラム WUSA活動停止




| 2011ふたたび | Daily Life | 2004 | 2003c | 2003b | 2003a | 2002 | 2001 |
| People | English | Kitchen | Culture | WASURE | Sports | 停電 | 胃潰瘍 | 病院 | お薬 |
| ハリケーンズ | (ま)でもわかるフットボール教室 | さよならカレッジ | 吠えろ!男ドアティ |


NC27517 - since 3.15.2003
All Rights Reserved

NC27517
HOME