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3行アメリカ Daily Life 2002 特別編・Blackout!



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ノースカロライナ停電レポート 12.10.2002

昨日2002年12月9日月曜日、ようやく電気が復活しました。実に足かけ5日間、100時間以上にもわたる大停電でした。

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4日水曜日の、予報通りきっかり午後2時から雪が降り始め、外はみるみる銀世界になっていきました。3時過ぎには研究所も閉鎖、雪と渋滞の中を約1時間(普段は15分)かけて家まで帰り着きましたが、昨冬1月3日の大雪時の片道2時間に比べると楽勝でした。
ラジオに流れる予報では、雪は次第に「Freezing rain」になっていく、との情報でした。この Freezing rain、雪よりもタチが悪くて、降ったそばから凍って全てのものを氷で包んでしまうとか。例えば木も氷に包まれて、その氷の重みと木自体も凍っていることでポッキリ折れてしまうとラジオでは言っていました。もちろん道路も氷の舗装道路となるわけで、雪よりも運転するのは危険だから気をつけろ、とのことでした。そして実際に家に帰り着く頃には、雪ではなく雨のような霰のような、まさしく「Freezing rain」が外には降っていました。
雪には前回の経験から慣れていたこと、また、危険な状態になる前に家に帰り着くことができたことで、「明日は研究所が休みになるといいな〜」などと暢気に窓の外の雪を見ながらビールを飲んでいた水曜日の夜でした。

さて明けて木曜日、研究所は期待通りお休みでした。(ま)の英語学校は朝10時から始まる、というので、(ひ)もついでに研究所には少し顔を出そうかな、なんて考えていましたが、そんなことよりも何よりも大きな大きな大きな大きな問題がありました!
それは「停電」です。
アメリカでは停電もよくあると聞いており、また家に帰るとビデオの時計がリセットされていて「ああ、停電があったんだな」と思ったようなことはありましたが、ここまで大規模なのは初めてです。電池式の小さなラジオを聞いてみると、この停電は3〜5日間続くかもしれないと言っていました。もちろん信じたくありませんでした。
(ま)の英語学校も、おそらくはこの停電の影響でしょう、お休みになったので(この頃はまだ電話が通じていました)、2人でサバイバル生活を決め込んで家にこもり、停電を楽しむことにしました。

昼間の明るいうちは読書もできるので大丈夫です。パソコン仕事もDVDもCDもダメなので、本を読んだりギターを弾いたりでのんびり過ごしていました。
幸いなことに、暖炉(ガス式)がちゃんと動いて家の中がとても暖かく、またキャンプ用のガスボンベ・グリルで紅茶やコーヒーを沸かしたりもできたので、意外にも十分すぎるほどに快適な時間となりました。
そして時間は夕刻に迫ってきました。電気が回復する様子は一向にありません。ラジオでは電力会社の人が「なるべく速く戻るようにがんばっているから!」とは言っていますが、それもまだしばらくは停電が続くという意味なのでしょう。
またこの頃になると電話も不通になっていることにも気がつきました。

夕食は、まだ明るいうちに、プールサイドのバーベキュー・グリルでお肉を焼こう、ということになりました。冷凍庫に保存してあるお肉も、早く食べないと悪くなってしまいますからね。
雪の時には物珍しさを楽しんで雪の中でバーベキューをしましたが、今回は必要に迫られてのバーベキューです。案の定、他にも何人かの住人がグリル周辺でお肉を焼いていました。みんな顔には笑顔笑顔、停電も楽しもうと思えば楽しいものですね。楽しく会話しながらのバーベキューとなりました。
外の木々も、すっぽり氷に包まれていて(やっぱり何本かは折れていました)、こういうのを樹氷と言うのかな〜、などと暢気に思いながら見つめていました。とってもきれいです。
気のせいか、いつもより外を歩いている人は多かったです。家の中では何もすることがないのでお散歩でもしているのでしょう。普段は挨拶だけしかしないような隣人の方々ともたくさんおしゃべりしました。同じ棟に住むハワイ出身の日系3世コービーちゃんの部屋には暖炉がないらしく、コートを着込んでぶるぶる震えていました。我が家では暖かいだけでもラッキーですね。
夜になって暗くなると、ろうそくの火やこれまたキャンプ用のランタン式懐中電灯で何とかなります。ラジオではやっぱり電気はまだしばらく回復しないだろう、と言っています。聞けば Duke Power(電力会社)歴史上最悪の被害らしく、ダーラム・カウンティの80%、ノースカロライナ州全体では実に120万世帯が停電に困っているとのこと。これだけ大きな被害なので、まあ文句などは言わずに逆に楽しむくらいの心づもりでちょうどいいのでしょう。

停電で一つだけ困ったことがあります。それはお湯が沸かせないのでシャワーが浴びれない、ということです。初日の段階ではぬるいながらもとりあえず溜めてあったお湯が出ていたのですが、シャワーを浴びるほどには温かくありませんでした。そこで、軽く髪を流したり顔を洗ったり、という具合にしのいでおりました。
そこでキャンプ生活2日目は、シャワーを浴びる目的も含めて研究所に出かけました。道中の道路はすっかり整備されていて全く問題なかったうえに、木という木が真っ白に固まっていてそれはそれは美しい白銀の世界の中を走る快適なドライブでした。いい気分転換です。夏の新緑に秋の紅葉、それにこんなに白い美しい景色を見せてくれて、つくづくノースカロライナはいいところだな〜、などと暢気にも感心などしておりました。
研究所では、ボスS氏など何人かの出勤してきていた面々に聞いても、全員家では停電しているそうです。隣のラボのボスJ氏の家などは水まで止まっているとのこと。井戸から水を汲み出すのがポンプ式で、そのポンプが動かないそうです。ご愁傷様。S氏J氏も研究所でシャワーを浴びていました。考えることはみんな一緒ですね。
水が出ること・暖炉で家が暖かいこと・ラジオで情報が得られること・紅茶やコーヒーもOK・料理もできること・前日にクリスマスツリーを買いに行っていたこと・前日に洗濯していたこと(たまたま)・電池の予備も十分、というわけで、停電サバイバル生活も何とか順調に乗り切れた停電前半でした。

blackout1 blackout2 blackout3


さてさて、サバイバル生活も後半です。事態は思ったより深刻だったようで、この寒波と停電の影響でノースカロライナ州知事は非常事態宣言を発令、特に3,4日目の土曜日・日曜日の夜は摂氏で言うとマイナス7度くらいまで冷え込んだので、暖房を使えない人たちのために、中学校や高校の体育館がシェルターとして開放されました。
(ひ)(ま)家では本当に幸いなことにガス暖炉が普段通りに使えていたので、寒い思いをすることはありませんでした。これは本当に良かったです。間違いなくこの停電でのMVPは暖炉でした。
また、ラジオではしきりにチャコール(木炭)を屋内で燃やすな、と注意を促していました。あまりの寒さと調理のために屋内で炭を炊いたため、一酸化炭素中毒になったケースが続発したそうです。これは本当に命にかかわるので、気を付けましょう。

そうこうしているうちに、外を見ると雪はすっかり溶けてしまいました。さらに、周囲では次第に電気が復旧したとのニュースが聞かれるようになりました。
Iくん家-金曜夕方に復旧・ザビ・サン家-金曜夕方に復旧・ボスS氏家-土曜夕方に復旧・Pおばさま家-土曜夕方に復旧・Eラヘ家-土曜夕方に復旧・JP家-土曜夕方に復旧・K谷先生家-日曜お昼に復旧、などなど。

軍隊や他州からの電力会社の応援などもあって、復旧作業が進んでいたようです。しかし(ひ)(ま)家では停電から丸4日が経過した、日曜日の夜になっても電気は戻りませんでした。まだ外に雪が残っていたりして停電だったら楽しむことは簡単でした。しかし外の環境はすっかり普通で、しかも周囲には電気が戻った家も多くて、、となると、家に戻ってアパート全体が真っ暗だった時にはさすがにしょげそうになりました。
ラジオでのニュースはいかに電気が復旧したか、ということを主に伝えるようになりました。「70%以上が復旧したぞ!」とは言っても我が家がダメなら同じことです。停電の後半は、やっぱりつらかったです、精神的に。なんだか、規模は違いますが「神戸は復興した!」というニュースが流れても仮設住宅暮らしを何年も続けなければならなかった震災被災者の方々の気持ちがよく分かったような気がしました。

そしてそして、月曜日の朝10時、(ま)から連絡があり、やっとのことで電気が戻ってきました! 直後には「Waoooo! We got power!!」という歓声がアパートのあちこちから聞こえてきたそうです。実に足かけ5日間、100時間以上にもわたる大停電でした。電気が戻った時には、「ああ、長かった・・・」というのが率直な感想で、うれしかったと言うよりも気が抜けたようでした。
今現在(火曜日夕方)、テレビがまだ映っていませんが、まあ、停電に比べるとどうでもないことです。不幸なことに、いまだ電気が復旧していない地域もあるそうです。同じラボのX氏は家族4人でシェルター暮らし、ボスS氏家にもお友達の家族が避難してきているそうです。悪いことに明日の天気予報が雨で、雨が降ると復旧作業は中止されるそうです(作業員の安全のため)。早く全てが元通りに戻るといいですね。

それともう一つ、この停電の間に我が家に家族が1人増えました。土曜日にショッピング・モールへ時間つぶしも兼ねて遊びに行った際、オーダーメイドの熊のぬいぐるみを作ったのです。ちょっとカールしている毛皮がかわいい、その名も「パワーくん」。命名の由来は、一にも二にもその時は「We need Power!」だったからです。服は革ジャンを買いました。なんか不良っぽくなってしまいましたが、これが一番パワーくんに似合ったのです。

というわけで、ノースカロライナから(ひ)の停電レポートでした。(ひ)




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