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3行アメリカ Daily Life 2004 特別編・渡米3年、ついに病院行きを決意する



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(ま)の病院初体験記 2.26.2004

(ひ)の胃潰瘍を「大変だね〜。」と、心配しつつものんきに構えていた(ま)。自慢じゃないが、普段は鉄の健康を誇りつつ突然大きな怪我・病気をする(ひ)とは対照的に、色々小さなトラブルを抱えつつも一定の健康レベルを保つ(ま)なのだ。しかし、数日前から、体のあちこちに湿疹が出来て、やたらと痒くなってきた。皮膚のトラブルは慣れっこなので、適当に薬を塗りつつ、旅行にまで出かけてしまった。しかし、ワシントンDCからの帰り道、足の裏側にドワーッと湿疹が広がっているのをみて「こりゃ、もうダメだ。」 ついに1)病院にいくことを決意する。2)病院を探し、予約を入れ、3)時間通りに行き、5)診察を受け、6)処方箋を貰い、7)帰宅。たったこれだけのことが、どんなに大変で新鮮な経験だったことか!ひとつづつ、詳しくご紹介。

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1)病院に行くことを決意。「出来れば、病院に行きたくない!」

風邪をひいたらすぐに病院へ行く日本と違って、アメリカの病院は敷居が高いイメージがある。 まずは、健康保険の値段が高い。健康保険への加入は個人の判断(アメリカでは、保険は「買う」感覚。よって、貧しい人は保険を「買わない」のだ。)であり、日本のように、国家としての健康保険システムは存在しない。保険にもランクがあって、値段も異なる。よく宣伝で見るのは98ドル/1人/月。(ちなみに(ひ)(ま)家は、450ドル/2人/月の上物を買っている。ま、払っているのは(ひ)の研究所だけれど。)かつ通院もお高いのだ。保険に入っていても、病院に行く(医者に会う)度に、20ドルから30ドルがチャージされる。そんなこんなで、出来れば病院に行きたくないと思い続けていた(ひ)(ま)家。幸いにも病院へ行く必要が無いほどには健康だったのと、ちょっと調子が悪い時も日本から持ってきた薬と自然治癒力に頼ったので、これまで病院とは縁遠く過ごしてきた。


2)病院を探す。予約を入れる。「どの病院に行けばいいんだ?!」

まずは、自分の健康保険が使える病院を探さなくてはならない。保険会社からの病院リストを手に、近所の病院を探す。しかし、病院は完全予約制。妊娠しても1ヵ月後にしか医者に会えないのがアメリカだ。まずは病院に電話をして予約を取り、空きの時間があれば、普通は数日後に会ってくれるという。歯医者じゃあるまいし!おまけに新しい患者は診ない病院もあるという。

緊急の場合はどうするかというと、ER(エマージェンシー・ルーム)に駆け込むしかない。ドラマでお馴染みのこの場所は、診察を待つ患者で溢れており、数時間待たされたという話もよく聞く。一度、医者に「数時間も待たされるんじゃ、緊急になっていないじゃない。」と言うと、「緊急じゃない患者が緊急と思って来るから、本当に緊急の患者まで待つことになるんだよ。」とのこと。 今回初めて知ったのだけれど、病院の種類として「アージェント・ケア」というのがあり、そこはERには行かなくてもいいけれど、すぐに医者の診察が必要な患者が行くそうだ。具体的には、ERは、事故の負傷者や心臓発作を起した患者に対応し、アージェント・ケアには下痢が続く場合などお世話になるらしい。この住み分けは、納得。ちなみに、アージェント・ケアでも数時間待つのは当り前らしい。

さて、(ま)の場合はどうする。間違いなく、ERではない。一刻も早く診察を受けたいので、アージェント・ケアか?日本なら間違いなく皮膚科に行くところだが…。アメリカ人の友人、クリスティンに相談する。(ま)の選択肢は2つだと言う。
・アージェント・ケアに行って、数時間待つ。
・クリステリンが、自分の行きつけの病院に電話をして、事情を話して、今日の予約を取ってくれる。
また、自分の経験と(ま)の様子から、体の内部に原因があることも考えられるので、直接皮膚科の先生ではなく、まずはジェネラル・ドクター(一般科つまり何でもOKの医者)に行くことを薦められた。そこで皮膚科が必要と判断されたら、皮膚科を紹介してくれるという。ここは、彼女の厚意に甘えて、彼女のかかりつけの病院(ジェネラル・ドクター)に予約を入れてもらうことにする。幸いなことに、彼女の元勤務先は、(ひ)の現在の勤務先。つまり保険会社が同じなのだ。これで、保険会社の問題もクリアできた。


3)時間どおりに病院へ 「ほお、これが病院か。」

翌朝8時30分過ぎ、クリスティンから電話があり、事情を話して午後1時15分の予約を取ってくれたという。深く感謝。親切なことに、彼女も病院までついてきてくれるという。診察を受ける際の注意事項を説明してくれた。(ま)は診察に備え、これまでの経過と、薬のアレルギーの有無、体調など基本情報を英文でまとめておく。

クリステリンと(ひ)と(ま)、3人で待ち合わせて病院へ。普通のオフィスビルの中に一歩入れば、いきなり病院の待ち合い室。壁に6つほどのドアがあり、そこがそれぞれの医者の診療所につながっているらしい。「あなたの行く診療室はこのドア。あのドアは小児科、あっちのドアは産婦人科と足の医者が日替わりで使っている診療所ね。」と説明を受ける。待合室は共通、小さな診療所もシェアしているとは、何と効率的な。(しかし、足の医者と診療所をシェアしている産婦人科には行きたくないぞ。)


4)診察を受ける 「思ったより、親切かも。」

(ま)が受信する診療所のドアが開いて、名前が呼ばれ、書類の記入。名前や緊急連絡先、保険会社への医療情報公開を承認する為のサインなど。記入済みの書類を渡して、待つこと数分。看護婦が現れ、3畳ほどの診療室に連れて行かれる。体重、血圧、体温を測られ、ここで医師を待つように指示される5分ほどで医師が登場。黒人の女医さんで、年は40歳台。「クリスティンの紹介でここに来たの。」と言うと「よく来たわね。」と彼女もスマイル。怖い人ではなさそうだ。ドラマERに出ていた看護婦さんに似た彼女、テキパキと問診と患部の観察を繰り返してゆく。

困ったのは、とにかく医療単語が分からないこと。基本的な単語は知っていたつもりだが、(ひ)(ま)も全く想像のつかない単語が次々に出てくる。先生も親切で、いろんな単語を総動員して説明してくれたり、3種混合の注射跡を腕に探して確認したりしてくれる。子供の頃の病気については、「子供の頃にしなきゃいけない病気(はしか、おたふく風邪、など)はすべてしたし、必要な予防注射もすべてした。」と言って切り抜ける。

「待ち時間3時間、診察3分」というのは日本の大学病院の現状を言い表した表現だそうだが、アメリカでも医者は「高いお金をとって、さっさと診察を済ませる。」という悪いイメージが強い。クリスティンからも「アメリカでは、医者が質問する権利があるのと同様、患者も質問する権利がある。医者がドアを開けて出て行こうとしても、疑問があれば『ちょっと待って。まだ質問がある。』と言え。」と言われていた。思ったよりもちゃんと話をしてくれるし、こちらの話も聞いてくれる。(ま)が事前に考えいた質問は、全て尋ねることができた。病名も、聞いたことが無い単語だったので、綴りを紙に書いてもらう。医者は「すぐ戻ってくるから。」と、処方箋を書くために去ってゆく。診療の所要時間、約10分。


5)処方箋をもらう 「薬のオマケ付き?」

ここで、薬についてちょっと予習を。日本同様、アメリカにも2種類の薬がある。処方箋無しで買える薬(薬局のカウンターで買えるので「カウンター・ドラッグ」と呼ばれる。)と、処方箋が必要な薬だ。(ちなみに、おなじみ「バイアグラ」は処方箋が必要。) さて、アメリカでは、薬のコマーシャル、それも処方箋が必要なはずの薬の宣伝がやたらと多い。宣伝の最後は、必ず「あなたの医者に、サンプルを頼みましょう。」と出る。つまり、患者が「あの薬、よさそうだから処方箋を書いて。」と医者にねだる訳だ。日本人と比べると、まさに逆転の発想。ちなみに、処方箋に指定の薬局はなく、ドライブスルー付きのドラッグストア、スーパーマーケットの店内の薬局など、自分の都合のよい場所で購入できる。

診察室で待つこと15分。「処方箋書くのに一年かかるんじゃないの。」と冗談を言っているところへ、先生が戻ってきた。完全に医薬分業制なので、ここで薬はもらえないと思っていたら、手には薬の入った袋が。医者が持ってきていたものは、サンプルだった。3日分の抗生物質を示し、「これを飲んでみて、よかったら、処方箋を書いておくので買いに行ってね。」、そしてテレビでお馴染みの最新アレルギー用の薬(抗ヒスタミン)を示し、「これは3日分のサンプル。でも、処方箋は出さないわ。処方箋なしで買える同じ成分の薬があるので、処方箋を出しても保険会社が支払いを拒否すると思うの。処方箋無しで買える薬の名前はココに書いておくので、必要だったら買うといいわ。」その他、カウンター・ドラッグの抗生物質入りクリームの名前も書いてくれる。薬の副作用、飲むときの注意点などを述べる。副作用を避けるために、コップ4杯の水と一緒に飲むそうだ。(コップ4杯…結構辛い。)

ちなみに、もらった抗生物質(商品名Tequin)を見ると、成人女性の小指の爪より一回り大きい、400mg。これを1日1回飲めばOK。日本で、100mgを1日3〜4回飲むのに比べると、なんと効率的な。カナダ人女性が日本滞在中に医者にかかり、薬の小ささに驚いて、「私は体が大きいんだから、もっと薬を増やして〜。」と泣きついたのもうなずける。処方箋は7日分。refilという繰り替えし処方箋が使えるシステムもあるそうだが、私の場合は使いきりの処方箋だった。

「次はどうしたらいいの?」と聞くと、「2週間後に予約を取っておくから、必要だったらいらっしゃい。」とのこと。何だか、歯医者みたいだな。病院さえ見つけてしまえば、2回目からは、予約を取るのも随分楽だ。行く必要がないと思えば、24時間以上前にキャンセルの電話をすればいいそうだ。


7)支払い 「トラブルが起こりませんように…。」

さて、支払い。いかにも仕事の出来なさそうなオバチャンが、延々コンピューターと格闘してる。結局、計算が出来なかったらしい。「あとで請求書を送るから、チェック(小切手)を送って。」、と当日は支払いなし。この支払いも曲者で、(ひ)のラボの同僚は、病院の受付の手続きミスで、保険会社から支払いを拒否され、病院から弁護士を立てられ、裁判沙汰になりかけたことがある。今回はスムーズにいくことを祈るのみ。


8)帰宅 「無事に終了。友人に深く深く感謝。」

待合室で待ってくれていたクリステリンに処方箋を見せると、「場所によって値段が違うので、価格調査をしてから買いに行きなさい。カウンター・ドラッグは、ブランドネーム品の隣に、成分が同じハウスブランド品が、半分の価格で並んでいるから、それを買いなさい。」と、ありがたい最後のアドバイス。お礼を言って、駐車場で別れた。

ちなみに、結局何の病気だったのか。医師が書いてくれた"Impetigo"(インペタイゴと読む。)という単語を辞書で引くと、「とびひ」だった。「とびひ」をインターネットで調べて唖然。「子供が夏にかかる皮膚病。」だった。今は冬、(ま)は大人。どういうこっちゃ。しかし、「虫刺されなどを引っかくことによって傷にばい菌が入りこんで炎症を起す。」と言われれば、心当たりが無いわけでもない。皮膚接触による感染があるらしいので、念のため小学校でのボランティアもキャンセルして家でおとなしくしている。1週間ほどで治るそうだ。薬は、まあ効いているかな、という感じ。幸いなことに、目立った副作用はない。3日分のサンプル薬が切れるので、明日にでも処方箋を持って薬を買いにいく予定だ。

病院行きだけは避けたかった(ひ)(ま)家の、今回の一大事。痛感したことは、クリスティンのような頼れるアメリカ人の友人がいて、本当によかったということ。もちろん自分達で、病院を探すことから始めることも出来たと思うが、結果は大幅に違っていただろう。正直言って今までは、わりと何でも自分達で問題を解決してきたのだが、今回のことで自分達の無力さと、困ったときに助けてくれる人がいるありがたみを痛感した。毎日のように(ま)の様子を聞くために電話をくれるクリステリンやヘリーンのような友人を見ていると、(ま)も日本に帰ったら、困っている外国人の手助けになるようなことを何かしようかな、と結構真剣に思うのだ。今回の胃潰瘍ととびひを通して、ちょっと成長した(ひ)(ま)家なのである。(ま)




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