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真夜中のカノーリ ボストン食べ歩き《後編》



ボストン食べ歩きはまだまだ続きます。

チャイナ・タウン

香港出身のMによると「小さくてガッカリ」らしいが、ボストンには神戸と同じ位の規模の中華街がある。沢山の観光客と、それより多い中国人。英語が通じないことも珍しくないこのエリアは、安くておいしい食堂の宝庫。要領のつかめない白人観光客が不安げにうろうろしているのも不思議な感じ。

ペキンダック

チャイナタウンを歩いていると、店の窓に吊り下げられたペキンダックを見てギョッとすることがある。ペキンダックといっても、日本みたいに味噌とネギを巻いて食べる高級中華ではなく、ここでは麺やどんぶり飯の上に、どかーんとペキンダックがのっかるのだ。ペキンダックで有名な「ホンコン」(ホンコンでペキンとはこれいかに?!)に入り、(ひ)は北京ダック入りの麺を、(ま)はあっさりとワンタン麺を頼む。皮も身もついたペキンダックは結構脂っこいので沢山は入らないのだが、数切れなら、こってりしていておいしい。ワンタンも、澄んだスープにピンクのエビの身が見えるワンタンが浮かんでいる。お腹いっぱいで、2人で10ドル。やっぱり中華は安いのだ。


飲茶

師匠もお薦めの飲茶が出来るレストラン「Pearl China」に行く。11:50に店に着くと、すでに多くの中国系で埋まっただだっ広い店内を、料理を載せたワゴンを押してオバちゃん達が回っている。ここでは各テーブルを回ってくるワゴンを呼び止め、好きなものを選んで、伝票にハンコを押してもらうシステム。

(ひ)が気に入った海老味の厚揚げ、(ま)が半年前から食べたかった米粉のクレープ、具の焼豚がおいしいもち米の炊き込みご飯、ちょっと甘い味付けのポークの肉饅、頭もパリパリ食べられる海老のピリ辛揚げ、どれをとっても美味しく、トライアングル地区にある飲茶レストランに比べると「二味も三味も上手」by(ひ)。試したいものは沢山あるのに、一皿に結構な量があるのが残念な限り(と言いつつ、よく食べました)。やっぱり飲茶は大人数で行くのがいいようです。それにしても、飲茶の本場、香港育ちのMに言わせるとここの飲茶は「まあOK」らしい。一体どんな店が彼女を納得させられるのか、次回は是非彼女と一緒に飲茶に行ってみたい。

デザートに選んだマンゴープリンは、マンゴープリンかプリンマンゴーか分からないほどの具沢山。生食の時に感じるマンゴーのアクもなく、普段はこのフルーツが苦手な(ひ)も「これはいける」とペロリ。お勘定を済ませ、1:00に店を出た時には、入り口に長蛇の列が出来ていた。


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庶民のペキンダック * 美味しそう * いろんな点心(ディムサム)を少しづつ * 飲茶とその店内


ベトナム料理

前回NYに行ったときも感じたのだが、チャイナタウンの外れには、確実に他のアジア移民の店が増えている。ベトナム、タイ、マレーシアなど。どれも安くて日本人の口に合うとあれば、全て試してみたいけど、今回は時間の関係でベトナム料理一軒のみ。ベトナム料理と言えば、まず思い浮かぶのはは”ベトナム風うどん”フォー。鶏がらスープに、米粉で作った麺が入り、具はもやしなどの野菜と鶏肉か牛肉が入る。これにライムを絞ってスープを一口すすると、ああ、懐かしいベトナムの味! 今や日本でも大人気の旅行地ベトナムだが、(ま)は人気が出る5年も前に2度も出かけ、フォーの本場ハノイで、本物のフォーを食べて感動した経験を持つ。(ひ)も(ま)のベトナム好きに影響を受け、ワシントンDCに行く度に、ザガットにも載るフォー屋に行って舌鼓を打つ。期待高まる!

ボストンにいくつか店を持つベトナム料理店に入る。しかし、ここで師匠のアドバイスを守らずに、チャイナタウンの本店でなく、お洒落な観光客が溢れるバックベイの小奇麗な支店に入ったのがいけなかった。別に悪くはないのだけれど、特にスープが、化学調味料の味がした。多分、古い店内の狭い厨房で頑固親父が作るラーメンの方が、小綺麗で洒落た内装のチェーン店のそれより美味しく感じる、という論理的でない感覚も働いているとは思うが、(ま)はいきなりワシントンDCの味が懐かしくなってしまった。そんな(ま)を横目に(ひ)は、濃いコーヒーと甘ぁい練乳が混ざったベトナム風コーヒーを飲んでご満足の様子。それにしても、アジアンフードは安くてヘルシーということでアメリカ人にも若い人を中心に人気が出ているようで、このような気軽なレストランが増えるのは歓迎すべきことだ。


デザート

ダンキン・ドーナッツ

これぞボストンが発祥の地。アメリカ最大のドーナッツ・チェーン店。ボストンの町並みを歩くと必ず目に付く。日本の「Mr.ドーナッツ」みたいなもので、多種類のドーナッツや軽食、飲み物が買え、持ち帰りも店の中で食べることも出来る。ここでは、その名も「ボストンクリーム」をチョイス。ホテルに持ち帰って袋から出してマジマジと見つめる。丸い揚げドーナッツ。中には、たっぷり激甘のカスタードクリーム。外は、これまたたっぷりとチョコ味の砂糖でコーディング。甘いもの好きの(ひ)(ま)家も、絶句。味は…さすがに甘かった。

ところで、このダンキン・ドーナッツ一色のボストンにも異変が起こっている。何と、ノースカロライナが発祥の地で、我が家もお気に入りの「クリスピークリーム・ドーナッツ」が、ボストン郊外に近頃1号店をオープン。オープン日には買い求める長蛇の列が出来たらしい。T夫妻も30分並んだとか。以前ノースカロライナに住んでいたMは「ボストニアン(ボストンの住人)がクリスピークリームに並ぶなんて!」と大笑いしていたが、ノースカロラニアンとしては、全米進出の第一歩(?)としてクリスピークリームにも頑張って欲しいものです。


アイス・クリーム

ボストニアンはアイスクリームが大好き。雪が降っても食べる。とガイドブックに書いてあったが、真実はいかに? 何はともあれ、ハーバード大学近くのアイスクリーム屋「トスカーニニ」へ。種類も多くなく、子供を喜ばせるためだけにあるような派手な合成着色もない。評判の"khulfee"を注文。ナッツとスパイスが生み出す、深い大人の味わい。こういう組み合わせに出会うと、料理は芸術だな、と実感。


カノーリ

出発前、師匠から「ノースエンドに行ったら、是非カノーリを。マイクより絶対モダン!注文にあわせてクリームをフィリング。」という暗号のようなメールを頂戴する。かつ、ダックツアーの運転手(女性)はイタリア地区を通りながら「私はダイエット中だけれども、あのカノーリの誘惑には負けるわ。」と言い、カノーリを知らない私に向かってカノーリとは何たるかを説明して「絶対に食べろ」と念を押す。どうやらカノーリとはデザートらしい。でも、中にチーズが入っているらしい。謎は深まるばかり。

イタリア移民が多く住んだノースエンドは、今でもイタリアの血を引く人々の街並みが続く。イタリアン・レストランはもちろん、大きなカトリック教会、大通りを外れるとペイストリーなどの小店や散髪屋、歯医者まで看板がイタリア語で書いてある。道行く人もイタリア語を話しており、NYのリトルイタリーがチャイナタウンに侵食され完全に観光地化したのに対し、ここはまだ人々の生活の匂いがする。

通りを歩いていると「モダン・ペイストリー」の看板が。道の反対には「マイク・ペイストリー」。おお、ここは「マイクより絶対モダン!」だったな、と「モダン・ペイストリー」に入る。店内は20年前から変わってなさそうな、古めかしく野暮ったいインテリア。手作りのビスコッティーやマジパンのお菓子が並ぶ。驚くべきは、そこに溢れるお客さん。見ると多くの場合家族でやってきて、大量のデザートを買っている。ペイストリーといってもパンなどは売っていないようだ。しかし、一体どれがカノーリなんだ?!

さあ、注文の順番がやってきた。「あのー、カノーリって、どれですか?」と質問をする(ま)に、親切にも「見せてあげよう」と厨房の中まで入って取ってきてくれるイタリア系の店員さん。その手の中にあるのは「えっ?」何の変哲もない四角い春巻きの皮を対角線でクルリと丸めて揚げたような、茶色い筒がひとつ。絶句する(ま)に「これに好きなクリームを詰めるのさ。リコッタ・チーズ、カスタード、チョコクリーム。皮にもチョコレートがかけられるよ」よく分からないまま「一番伝統的なのを食べたいんですけど。」と言うと、チーズを薦めてくれた。よく分からないまま4つ注文し、「カノーリが何か知らなかったんだけど、友人から絶対食べるように言われたので」と説明すると、隣のおばさんは「その友達は正しいわ。特に、この店のカノーリでなくっちゃね。ガハハハハ!」と楽しそうに大笑い。

さて、この日本人になじみのうすい「リコッタ・チーズ」。チーズと言ってもほのかに甘味のあるクリームみたいなもので、アメリカではスーパーにも売ってある。そのまま食べても生チーズケーキのような味がして、お菓子作りなどによく使われる。脂肪分が高く、当然ながらカロリーも高い。しかし、揚げた餃子の皮に、リコッタ・チーズを詰めて果たしておいしいのか?!

早速ホテルで、コーヒーを入れて食べてみる。春巻きの皮と思ったものは、パイ生地らしい。揚げたような、焼いたような…。これにたっぷりと砂糖を加えたリコッタチーズがギュウギュウに詰めてある。 そして上から粉砂糖。食べてみると、うーん、サクッとパイ生地、アメリカで売られているお菓子にしては強烈でない甘さ(いや、十分甘いのですが。)、シンプルで懐かしいような味。甘いけど、まあおいしいね、くらいに納得。

しかーし、事件はその後起きた。夜中に突然(ひ)が「僕、カノーリ食べる。」と言い出し、冷蔵庫にあったカノーリをサクサクッ、ペロリと食べてしまった。何を隠そう、(ま)もその3時間前に、すでに2個目のカノーリを食べていた。実は、カノーリは冷蔵庫で冷やしてからが美味しい。パイ生地がクリームとなじんで少々しっとりし、冷えてクリームの甘さが押さえられ、実にまろやかで美味しいデザートに早変わりするのだ!

最終日、あの味を忘れられない(ひ)と(ま)は、ついにカノーリを空輸することにした。ボストンを離れるまでの2時間を使って地下鉄に乗り込み、ノースエンドへ向かい、カノーリを8個注文する。「おいしかったから、今からノースカロライナまで持って帰るんだ。」と言った途端、店員の顔が曇る。「クリームを詰めて時間がたつとパイ生地がパリッとしなくなるから…。」しばし考えた店員さんは、パイ生地とクリームを別々に持ち帰ることを提案し(別料金)、5分後やたら大きな包みが(ま)に手渡された。空港で、飛行機の中で、大事そうに抱えたその包みが、実はカノーリであることを知る人は少ない。午後10時にたどり着いた我が家で、再びの真夜中のお茶とカノーリで、旅行の無事を祝ったのは言うまでもない。(ま)


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甘ーいボストンクリーム * 芸術的な味のアイス * モダンペイストリー * これがカノーリだ!!


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