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 実写・ちんちんでんしゃのはしるまち


小さかった頃の(K)が、すり切れるほどに読んだ絵本「ちんちんでんしゃのはしるまち」(横溝英一、福音館書店)。 カステラ市民の生活がカステラ電気軌道のチンチン電車とともに描かれている絵本で、(ひ)の知り合いに男の子が生まれた際にはいつもプレゼントしています。
生粋のカステラ市民である(ま)の母上や叔母上が見ると、「あら懐かしか!」と盛り上がります。したがって数十年前の風景が描かれていると思われますが、せっかく地元に住んでいるので、この絵本の風景を実写しよう! と、(K)と2人で沿線を巡りました。


※(K)の夏休みの自由研究としてまとめたものです。沿線や車内で撮影する、模型で再現する、「路面電車まつり」等のイベントで撮影する、といった方法で、安全を第一に 公共のルールやマナーを守って撮影しました。


nagatram #表紙
【左】赤迫停留場は、低床車両が3編成停車できるように、2015年にホームが16メートル延伸されたそうです。写真をよく見ると、追加されたホーム部分が分かります。そのせいか、車両がかなり奥に映った写真になってしまいましたが、写真は赤迫から出発している電車の中から撮影したもので、したがって少ないチャンスの中でのベストショットでした。看板がある「お食事亭 ひぐち」は、かつて実在したそうです。
【右】実写できないものは、プラレール等を使って再現しました。運転士だけではなくポイント切り替え機やパイロンなど、それなりに忠実に再現できていると思いますが、そのへんは(K)の得意分野だったりします。背景の黒色は(ひ)のビオラケースです。

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nagatram #あさの 6じです。しゃこに とまっている チンチンでんしゃに...
【左】これも実写できませんが、鹿児島市電の運転体験での写真を活用しました。
【右】1300号車は実在しないのでほぼ完コピの1301号車を撮影していたのは偶然でしたが、細かいところを再現できて嬉しかったです。その下の台車は「路面電車まつり」の時に浦上車庫で撮影したものです。

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nagatram #でんしゃは どこも いじょうありません。うんてんしゅさんは、レバーハンドルを...
なんと!数年前に「路面電車まつり」の遊覧列車の中から撮った写真が、ほぼ完コピだったので興奮しました。時刻や映っている車両の数が違うのはやむを得ませんが、線路の配置も、奥に見える電停や建物の感じもほぼ同じなので、つまり同じアングルから見た風景を再現していると思われます。右側の車両も、青い色だったり扉が開いた感じだったり、そこそこよく似ています。
同じシリーズでテツな師匠Drイワヌマ氏が映り込んでいた写真もありましたが、再現度からボツとなりました。残念!

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nagatram #きょうは、さむい あさです...
いよいよ電車は街の中を走ります。写真は築町市場で撮影したものです。寒い朝ではなく夏の午後に撮影したので店舗や人物部分は似ても似つきませんが、手がかりの道路標識・消火栓や奥に見える建物・山の感じから、この位置で間違いないと思われます。電車の絵も再現できるよう、同じ位置に電車が来るのを待って撮影しました。
周辺には、「貝正」ではなく「貝賀」、「三輪蒲鉾」ではなく「五輪蒲鉾」、「(マ)松尾商店」ではなく「(太)中野かまぼこ店」であれば実在していました。

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nagatram #えきまえの ていりゅうじょに、れっしゃから...
とても分かりやすいカステラ本線終着駅前の風景です。いちおう 電車やバスの位置も絵に近くなるように、タイミングを見計らって撮影しました。現在は焼酎の看板のところに、かつては日立の看板があったのでしょうか?
右上のインセット部分も、1番のりばにJRが到着した様子を再現しています。現在は青い「シーサイドライナー」ですが、かつては白い車体に青い帯の列車がカステラ本線を走っていたのでしょうか? 絵本では、ホテルニューナガサキ部分はきれいにカットされています。

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nagatram #どうろは つうきんの じどうしゃで こんできました...
絵からはどの場所か特定できず、描かれている車両<おそらく元東京都電の700形>が4号系統正覚寺下行きなので4号系統の沿線を探索したり、右側の建物に記されている「ミナセリビング」を本気で検索したりしました。しかし決定打を得られず、ダメモトながら3号系統桜町電停付近を走る電車の中から撮影したところ、街並みや奥の山の感じ<つまり稲佐山>がほぼ完コピだったので興奮しました!! そう思って見れば、確かに奥に日立の看板が見えます<つまりカステラ駅前>
走る電車の中からの撮影なので、絵の車両まで再現しようとすればタイミングよくすれ違う必要があり、ほぼ実現不可能だと思われます。そもそも4号系統はこの場所を走らないので、つまり細かく再現するのは不可ということです。

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nagatram #がっこうや ほいくえん ようちえんに...
【左】蛍茶屋電停の2番のりばです。したがって待ちさえすればチャンスは多く訪れるので、5号系統石橋行きの黄色っぽい車両が来るまで待ちました。写真では分かりづらいですが、矢印が示された「次の発車は」という標識も奥の方に実在しています。
#でんしゃを おりたところが おみせの まえなので、かいものも らくですわ...
【右】つまり、おそらくマルタマ前の若葉町電停だと思われます。電停と横断歩道の位置関係から、奥にマルタマが映った写真を採用しましたが(上段)、絵本に描かれている風景は、どちらかというと対面の街並みの方に雰囲気が似ています(下段)。テツな師匠Drイワヌマ氏によると、横断歩道の位置は付け替えられる例もしばしばあるそうなので、かつてはホームの反対側に横断歩道があったのでしょう。

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nagatram #こどもたちが こうえんに あそびに きました。
まちが よく みえます...

風頭公園にある坂本龍馬像の前から撮影した写真です。※ちなみに逆に街中の方からもその位置が見えます。 特定できる目印の建物がないので、絵が本当にこの場所から見た風景なのか、実はイマイチ自信がありません。奥に見える山の雰囲気や斜面の家並みは、それなりに近いと思います。
写真をよく見ると、取り壊し中の公会堂の隣に3号系統の電車が映っています(待ちました)。絵本の方は、写真とは違って水平方向(つまり4号系統か5号系統)に走る電車が2両描かれていますが、この位置からは木や建物に隠れて見えませんでした。

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nagatram #つぎの ていりゅうじょの なまえを...
【左】左下の運転士の制服姿は「路面電車まつり」での写真です。電車のりつぎ券を入手するために、築町電停で乗り換えるフリをして降車しました。3日の日に行けばよかった!
#おとうさん おべんとうですよ...
【右】赤迫電停のホームで、運転士のお父さんにお弁当を渡す風景を再現。こんなふうにお弁当を持ってきてくれたら、お父さん超ウレシイわ♡

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nagatram #しゃこまえの ていりゅうじょでは うんてんしゅさんが こうたいします...
カステラ電気軌道の本拠地、浦上車庫です。写真は(K)がまだ小さかった頃に撮影したもので <超かわいい♡♥> 、「路面電車まつり」で購入したポップコーンを手に持っています。中央付近に一際目立つ3列X3列の信号は、現在ではデジタル式に変更して「こうのコンタクト」の看板 ※絵にもあります の上に設置されています。

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nagatram #にぎやかな しょうてんがいを...
【左】西浜町電停付近のポイントです。場所は分かりやすいのですが、1号系統と4号系統が絵のようになるタイミングを求めて、実は結構な時間待ちました。
左奥の三菱らしき看板は残存していますが、角の「きのくに屋」 <書店ではなく衣料品店とのこと> はパチンコ店に、協和酒造の看板はインターネットカフェの看板に変わっています。
#でも、でんしゃって どうやって まがるのかな?
【右】ポイントを絵のように真上から見ることはさすがにできませんが、隣接するビルの階段踊り場から、同じような電車の配置になるまで(K)と2人で息を潜めて待ちました。結構な時間をかけたので、その瞬間が近づいた時には緊張しました。偶然ですが車両も絵に近い感じです。

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nagatram #でんしゃは レールの うえを はしるので...
【左】電車がポイントで曲がる仕組みを説明した絵は、プラレールで再現しました。車両もカステラ電気軌道の3000形です。※ 現在は販売していません
#でんしゃには せんようの しんごうが あります...
【右】7秒おきに入れ替わる直と曲の信号機や、パンタグラフがたたく架線のバー(トロリーコンタクター)も、かなり近い感じに再現できていると思います。

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nagatram #ひるすぎ、そらが きゅうに くらくなって...
【左】寒い雨と雪の中を帰宅する子どもたちが電車に乗り込む風景ですが、冬を待っていると夏休みの自由研究に間に合わないことを、(K)も「これだけは変えられない」と考察しています。写真の車両は水戸岡鋭治氏デザインの「みなと」(310号車)です。吊革や車内の構造が絵と似ているので、同じ300形かと思いましたが、(K)によると扉の位置が違うそうです。
#うんてんせきの まどの ワイパーが...
【右】やっぱり雪の様子は再現できませんが、運転士さんの左手が少し映っているところとか、子どもが帽子をかぶっているところとか、努力して絵に近づけようと試みているのが分かっていただけるとウレシイです。「みなと」の組子細工が美しいですね。

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nagatram #おきゃくさんを のせた チンチンでんしゃが、
ながい さかを ゆっくり のぼっていきます...

絵だけでは、どの場所か分かりませんでした。長い上り坂なので蛍茶屋終着付近と予想していましたが、決定打となったのは右頁に描かれている鳥居がある神社で、電車の中から(K)が「あった!」と見つけました。その「八幡神社」に行ってみると、驚いたことに「ここ、来たことある!」と(ひ)が3〜4歳だった頃のかすかな記憶が呼び戻されました。はるか昔、数年間だけ祖父母がカステラ市の新大工に住んでいた時に、間違いなくこの神社の境内で遊んだことがあります。
興奮は冷めやりませんが、絵本を再現することが目的なので、対面の山を瓊浦高校方面へと登ると、ああ、ココばいココ、まさにこの風景。沿線の建物は 絵の当時のものも、建て替わっているものもあるようです。滑り止めの砂を捲く砂捲き専用の電車は、テツな師匠Drイワヌマ氏によると、今でも1年に1度だけ 精霊流しの翌日8月16日の朝に走るそうです。この場所で待ち構えてみようかしら。余談ながら、蛍茶屋行きの電車に乗っている瓊浦高校の生徒たちは毎朝この山を登っているそうで、彼らを見直してしまいました。

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nagatram #しゅうてんに つきました。じょうきゃくを おろすと、チンチンでんしゃは また えきの ほうに ひきかえしていきます...
いわゆるどこにでもありそうな街並みなので、この最後のページに描かれた場所を探し当てられるとは期待していませんでした。文面から蛍茶屋の周辺だろうと、絵本を片手にどれくらい歩いたでしょうか。目印の「止まれ」標識と道路の字、奥に見える山と電車、向かって右の古い家もほぼ同じ。絵本と同じ風景のこの場所に立った時には、「ああ、ココばいココ」と全身に鳥肌が立ちました。電柱の街灯はおそらくLEDに置き換わっていますが、1mくらい下には 絵と同じ位置に街灯があったような痕跡があります。間違いなくこの場所、ちなみに中川町の料亭橋本の近くです。

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というわけで、かなり楽しい自由研究になりました。とりわけ最後の2ページは完コピどころではなく興奮しました。我ながら、期待以上に絵本の風景を再現できたと思います。この経験を通じて、(ひ)も(K)も、チンチン電車がはしるこの町を、もっと好きになりました。(ひ)






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