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 ニューヨーク 旅の街角、世界の味



「ニューヨークに、本場のミュージカルを観に行く!」と決めたとき、(ま)にはひとつの野望がありました。「ニューヨークで、おいしいラーメンが食べたい。。。」変だと思うなかれ。2年を超えるアメリカ生活で、すでに嫌というほどアメリカンな食事は食べている。日本食のお店と言っても、近所には高級おスシ屋さんしかない田舎街では、納得のいく味のラーメンなど食べられる筈もない。ああ、Q州人の血が泣いている!

さて、このニューヨーク、ご存知の通りアメリカ一、いや世界一の大都会であり、多くの民族が独自の文化を形成しています。日本食のレストランはもちろん、ガイドブックやインターネットで調べていると、様々な国の料理が食べられるらしい。興味はいつのまにか「ラーメン」から、「各国料理」と「NY名物」へと移り、着々と「行きたいレストランのリスト」が完成していきました。

ちょっと気になるのは都会ゆえの物価の高さ。おまけに、日本語のガイドブックには「この街で美味しいものを食べたければ、高いものを食べること。」という身もふたも無い書き方をしているものもあります。本当にそうなのでしょうか?? 少々不安を抱えつつ、いざ出発!


オイスター・バー

グランドセントラル駅の構内にある、ニューヨーク名物レストランのひとつで、その名も「オイスター・バー」。ニューヨークでの初めてのレストランに期待大で入り、生牡蠣を注文。しかし、ニューオリンズやチャールストンでとろけるように美味しい生牡蠣を食べている(ひ)(ま)家には、値段も鮮度も、いまひとつアピール度低し。名物だけあって、クラムチャウダーは美味しかったものの、張り切って頼んだ「オイスター・ロックフェラー」(大富豪ロックフェラー家のように豪華な一品、牡蠣をホウレンソウのソースで和えて焼く)も「こんなものかな?」という程度。でも、地下に電車が走っているのも納得の石造りの内装といい、やっぱり一度は経験しておきたい名所(かな?)。


めんちゃんこ

友人よりとんこつラーメンがおいしいと薦められたお店。しかーし、何を隠そう博多が本店のこのお店、大学の教養部近く(六本松)にも支店があり、学生時代に時々通っていたのです。当時「ニューヨーク支店オープン!」という広告を見て「いったい誰がニューヨークでめんちゃんこなんか食べるの?」と思っていたが、10年後、その自分が食べることになろうとは。店名にもなっている「めんちゃんこ」は、澄んだスープにチャンポン麺と多種類の具。柚子胡椒を少々入れて食べるとこれまた懐かしい博多の味でした。もちが異常に固かったのは、きっと不慣れなガイジンさんがのどに詰まらせないようにしているのしょう(といっても、お客さんは全て日本人)。残念ながら夜食だったのであまり多くは食べきれず、次回はチャーハンと餃子を!と思いつつ、再訪のチャンスはありませんでした。


ホットドッグ

映画監督のノラ・エフォンによると「たぶんニューヨークで2番目に美味しい、そして間違いなくNYで一番安い」ホットドッグ屋「Gray's Papaya」に朝食を食べにゆく。ニューヨークかつアッパーウエスト(カジュアルで上品なエリア)に位置しながら、ホットドッグ2本と絞りたてのフレッシュ・マンゴージュース1杯のセットで、何と2.50ドル(300円)以下の価格もすごいけれど、店全体が黄色でペイントされ、紙で出来たフルーツが店内の天井から所狭しとぶら下がったチープな造りにも驚きを隠せません。カウンターでは、陽気な店員達が20本以上のソーセージをジュウジュウと焼いていおり、客足のほうも途絶えることが無い。イスも無いカウンターだけの店内でさっそくかぶりつく。さて、お味はというと、普通はパンは蒸すか何もしないのに対し、ここではコンガリ焼いてある。ソーセージもシンプルだけど、いい味。また通常はケチャップとマスタードで味付するのにに対して、オニオンたっぷりの甘めのオリジナル・ソースで味付けで、これがまたカリッとしたパンと良く合う。マンゴージュースは、本当にフルーツを絞っているのでしょう、最後のほうは繊維質まであって、お腹いっぱい、味にも値段にも共に大満足。

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クラムチャウダーとオイスター・ロックフェラー*激安ホットドックとその店内


ニューヨーク・チーズケーキ

ニューヨークは、数多くの映画の舞台になります。「You've got mail」もそのひとつ。アッパーウエストに住む30代男女の出会いをコミカルに描いたこの作品に出てくる喫茶店「カフェ・ラロ」は、実はラロさんというケーキ職人のお店です。ここに行ったのには理由があって、日本人旅行者の間で「くせになる濃厚な味」「日本の物とはひと味違う」と話題になる「ニューヨーク・チーズケーキ」(一般名称。いろんな店が独自のレシピで作っている。)なるものを、せっかくなら職人の手で作られたもので経験したいと思ったからです。
早速店に入り、店内のガラスケースに並んだ多種類のケーキを見つつ「ニューヨーク・チーズケーキはありますか?」と聞くと、「そんな名前のチーズケーキははないけど、一番近いのはオールド・ファッションかな。」とイキナリあらら、な展開。

そのアドバイスに従って注文した「オールドファッション・チーズケーキ」は残念ながら私のアメリカンに慣れた舌には普通のチーズケーキにしか思えませんでした。(ひ)がオーダーしたストロベリー・チーズケーキも「甘くてベチャベチャしている」とイマイチのご様子。店内は開け放った窓から入ってくる風も気持ちよく、お客さんはゆっくりブランチを味わう人が半分、映画を見て訪れたであろう観光客が半分、そのうち半分が日本人、といったところ。外のガラス窓には映画のシーンの写真が貼ってあり、アッパーウエストで異彩を放つ小さな観光名所。(ひ)(ま)家的には、チーズケーキなら、全米大都市にあるチェーン店「チーズケーキ・ファクトリー」が味が安定していてお勧め。


パニーニ

あれは数年前。ミラノのバール(喫茶店)でパニーニ(イタリアの焼きサンドウィッチ)を「パンがサクサク、チーズがトローリ。おいしい!」と食べていた。口を動かしている自分に気づいて目が覚めた。。。夢でした。食感まであった夢は初めてで、それはイタリア旅行から帰国して数日後の出来事でした。

以来、もう一度本場のパニーニが食べたいと思っていた(ま)は、アッパーウエストからホテルに戻ろうとバスを待っていたとき、バス停の前に「パニーニ屋」を見つけました。迷わず入る。突然の行動に驚く(ひ)。カウンターのガラスケースに並んでいる、いろんな具のサンドウィッチのひとつを選ぶと、それを店員が大きなパニーニ焼き器(鯛焼き器みたいに、鉄板が上下にある。)に挟み、具のチーズが溶けるまで待つこと約5分。その間、(ひ)は「ジェニファー・ロペスよりよっぽどカワイイ」イタリア系美女の店員に見とれていました。その美女にテイクアウトをお願いすると(注:美女のテイクアウトではございません、念のため。)、焼きあがったパニーニとピクルスとサラダを、大きく「アイ・ラブ・ニューヨーク!」と書いた袋に手際よく入れてくれます。帰りのバスの中でも、袋から香ばしい匂いが漂ってきます。

ホテルに帰って早速包みを開きます。油っ気の少ないパンに、温まったハムやサラミやチーズや野菜の脂気と汁気がほどよく染みて、いい感じ。一見簡単に見えるこの一品、実は結構凝った食材や道具を使ってしか生まれない味なのです。材料としてはパニーニ専用のパン(チアパッタ)、下味となるニンニクとバジルのペースト、それに合う複数の種類のチーズ、焼いてやわらかくした赤ピーマンなど。道具は、例の大きなパニーニ焼き器。しっかりプレスして、きれいなストライプの焼き目をつけつつも、焦がしてはいけない。そう思うと、この街角での「パニーニ屋」との出会いが一層嬉しくなります。テイクアウトしたので、残念ながら5年前に夢にまで出てきたミラノのパニーニほどの食感はなかったけれども、具の組み合わせの妙はこちらのほうが上。NYで鍛えられたイタリアの味、といったところでしょうか。


韓国料理

10年前には存在しなかったコリアン・タウン。増加する韓国移民がついに街まで作ったとあれば、是非そこでご飯も食べてみたい!エンパイア・ステート・ビルディングを間近に見上げるレストラン街の1件を訪れました。「プルコギ(甘めのタレの焼肉)」と「チャプチェ(サツマイモで作った麺の料理)」を注文。ところが、注文してまもなく、6品の料理が運ばれてきました。魚の煮物にポテトサラダ、海草の和え物に白菜キムチ、、、そう、忘れていましたが、韓国料理は注文した料理以外にも「副菜」が多数出てくるのでした。「さすが韓国料理、日本人の口にも合うねぇ。」とパクパク食べてお腹が4分ほどいっぱいになったところに、いよいよ注文したメインの料理が登場。これまたすごい量で、食べても食べても無くならないのではないかと不安になるほど。「無料だけど、スープも要る?」と聞かれれば、ついつい貧乏性(?)ゆえに「お願いします」。全く味のしない白濁したスープに一瞬戸惑うも、塩と胡椒でお好みに味付けするのが韓国流だったと思い出しました。どうにか食べ終えると、今度はデザートのオレンジまで出てきます。そもそも韓国ではご飯は余るほど多めにサーブするのが他人をもてなす時の礼儀と聞きますが、それにしても韓国のホスピタリティ、天晴れ。特に物価が高くて観光客からは搾り取れるだけ取ろうとするニューヨークで、こんなに太っ腹なサービスは(たとえそれも料金に含まれていたとしても)気持ちのいいものです。


小龍包(ショウロンポウ)

チャイナタウンに数多くの中華料理店あれど、どのガイドブックにも必ず載る有名店「Joe's Shanghai」。お目当ては2種類の小龍包。20分ほど並んんで席に着き、待つこと10分ほどで大きなセイロが2段重ねで運ばれてきます。ふたを開けて湯気の中を覗くと、そこには普通の3倍ほどの大きさの小龍包が8個デーンと鎮座しています。

ちなみに小龍包というのは、皮の厚い蒸しシュウマイの中に肉とスープが一緒に入っている不思議な食べ物。スープをどうやって包むかというと、最初にスープをゼラチンで固め、肉と一緒に具として皮に包みます。蒸すと中でゼラチンが溶け、皮の中にスープに入った状態になります。食べ方にもコツがあって、レンゲの上に小龍包を載せ、まずは皮の端の方をちょっとかじって中のスープを吸います。その後、皮と具をじっくり味わいます。頬張った途端、「うーん、おいしいっ!」。どうやら1段目は「カニみそ小龍包」だったらしく、カニみその濃厚な味が口に広がります。と云うことは2段目は「豚肉小龍包」。これはこれでシンプルなおいしさ。
実は「余りにも有名店に行くのは恥ずかしいかなー。」と密かに思っていたのですが、これは「行かないと損」とまで言い切ってしまいましょう。ちなみに相席になったジャズマンの彼(アメリカ人)は、魚のフライを注文し、丸ごと一匹唐揚げされた体長30cmの魚が出てきて絶句していました。

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チーズケーキ*韓国料理、驚きの副菜6品*おいしかった小龍包


パストラミ・サンド

小龍包屋さんで「有名店でも、やっぱり美味しいしいものは美味しい。」という事例を見て、ついに行く決心を固めたのが「カーネギー・デリ」。ガイドプックに必ず載る超有名なサンドウィッチ屋さんなのですが、アメリカのガイドブックを読むと悪意をもって書かれている方が断然多い。例えば「観光客がなぜこの店を崇拝するのか、永遠のミステリーだ。きっと壁いっぱいの有名人の写真のせいだろう。名物のパストラミ・サンドを頼むと、頭ほどの大きさのビッグなサンドウィッチが出てくる。但し、お値段も同様にビッグだけどね。」てな具合。うーん、行くだけ損な気もするが…ま、行ってみるか。

で、お客さんで溢れる店内で、席について横を見て絶句。そこには「頭ほどの大きさの(注意:アメリカ人の頭です。アメリカン<アジアン)ビッグなサンドウィッチ」をうんざりした顔で食べている大柄の白人男性の姿が。2人でシェアしようか…と弱気になると、お店もそれを見越しているらしく、メニューには「シェアの場合は、1人3ドルの追加料金」との記述。うーん、観光客相手のあこぎな商売をしています。
やがて出てきたサンドウィッチは、果たしてこれがサンドウィッチと呼べるのか、スライス肉のかたまりの上下に薄ーいパンが申し訳程度にちょこんと付属しており、これひとつがドデーンと皿に乗って、しめて12ドル。パストラミ(脂の多い加工肉)は自家製で、まあまあ美味しいけれど(この値段なら当り前?!)。それにしても、肉の量とか材料のバランスとか考えると、肉食民族を満足させる一皿ではあっても、洗礼された食べ物とはお世辞にも言えないな…。

食べ終えて、サンドウィッチ1皿12ドルにシェア料金3ドルの計15ドル(1800円・チップ別)をレジで払うと、カウンターの向こうで、映画監督のウッディ・アレンとジョージ・ルーカスの写真がニッコリと微笑みかけていました。


ベーグル

いつもはモーテルで無料の朝ご飯をたっぷり食べて、旅先での一日の行動を開始するのが(ひ)(ま)家(というかアメリカ一般の旅行者の姿)なのですが、残念ながら朝食がついてないのがニューヨークのホテル。という訳で、メトロポリタン美術館に行こうと地下鉄に乗ったものの、朝食抜きではエンジンがかからない(ま)が、駅を出たところで我慢できずに、駅前の名も知らぬベーグル屋に飛び込みました。ちなみにベーグルとは、ドーナツみたいな形をしたユダヤ式の固焼きパン。いろんな味のベーグルのなかからホールウィート(全粒紛)を選び、いろんな具の中から、今回は朝の定番クリームチーズをはさんでもらいました。
アメリカの中でもニューヨークはユダヤ人の人口が多いため、ベーグルのレベルが高いと聞きます。しかし、チャペルヒルにも美味しいベーグル屋はあるぞ。ナンボのもんじゃい。とひと口かじって…無言。お、おいしい!ベーグルの誉め言葉「もちもちした食感」のみならず、同時にサクッとした口当たり。クリームチーズのほうは、一箱丸ごと使ったかと思えるほどたーっぷりとはさんである。見れば形も普通のベーグルとは少々異なり、ボール状に焼き上げてある。上下分割のみならず上半分は縦にも切り目が入っているので、クリームが横からはみ出して手がベタベタ、なんてこともない。やっぱりニューヨークのベーグルは一味違うかも。美術館までの10分ほどの道のりを、ニューヨークの食の奥深さを(文字通り)噛み締めながら歩きました。


高級サンドウィッチ

メトロポリタン美術館を見て、ブロードウェイに戻る前に何か食べたいね、と歩いていると、ニューヨークきっての高級エリア、パークアヴェニューにぶつかりました。マンションの表札には医者や弁護士や歯医者の名前がずらりと並び、表通りには高級ブティックが建ち並ぶ。軽食が食べられそうなレストランがあったので入り口にあったメニューを見たら、普通のランチが30ドル(3600円)。うーん、さすがに急ぎのランチに30ドルはねぇ、と見ると隣にパン屋があったのでここでパンを買ってセントラル・パークで食べることに。狭い店内で、20cm程の細長いパンのサンドイッチを手にとり値段を見ると「え?」12ドル(1400円)。結局1つ6ドル(720円)のサンドウィッチを2つ買って、公園で彫刻を見ながらのんびりと食べました。確かに、パンもおいしい、サラダも薄味で素材の味が生きている。あとで袋を見ると店の名前は「E・A・T」、アッパーウエストのグルメ食材店ゼイバーズの関連のお店のようでした。ニューヨークというのはエリアやブランドが確実に価格に反映されるところのようです。それにしても1400円のサンドウィッチ、具として1枚だけはさまれていたチーズのお味を試してみたいような気もします。

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肉の塊、パストラミ・サンド*何かが違うベーグル*高級サンドウィッチ


振り返ってみれば、3泊の滞在で5本のミュージカルを見て、その間に様々な食事を楽しみました。アメリカンにユダヤにニューヨーク名物、日本に中華に韓国、イタリアンと食べたので、なかなかに満足できる結果だったと思います。次回はもっとマニアックなものも食べてみたいな。そうそう、今となってはどうでもいいのですが、当初の(ま)の野望「とんこつラーメン」(時間がなかった)と(ひ)の野望「吉野家の牛丼」(地図の場所になかった。閉店?)を食べ逃したことを、小さく書き添えておきます。

ちなみにお値段は、最初のオイスター・バーでこそ2人で40ドル超えたものの、あとは1人10ドル前後かそれ以下で随分楽しませてもらいました。別に安く上げようと苦労した訳ではなく、何となくそうなってしまったのですが。ガイドプック氏が言うような「高いお金を出さないと、食べれない」美味しいものはまた次の機会に、ね。


★おまけ ニューヨークの物価クイズ★

今回の「おいしいアメリカ探した。」に登場した食事を、値段が高い順に並べてみましょう。
《登場したのは、オイスター・バー、めんちゃんこ、ホットドッグ、チーズケーキ、パニーニ、韓国料理、小龍包、パストラミ・サンドウィッチ、ベーグル、高級サンドイッチの9つ》(答えは下。)


クイズの答え:オイスター・バー($45)、韓国料理($25)、めんちゃんこ($22)、チーズケーキ($20)、パストラミ・サンドウィッチ($17)、小龍包($15)、高級サンドイッチ($13)、パニーニ($12.5)、ホットドッグ($5)、ベーグル($4)、(料金は共に2人分、チップ込み。)



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