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korea 熱くて赤くて辛い国 韓国食べ歩き



韓国を旅した。アメリカ生活で韓国人の友人に習っていたので、韓国料理は結構知ったつもりだったけれども、いやはや、本場は奥が深かった。奥が深くて、熱くて、赤くて、辛かった。
今回は、学会参加ということで、常時30〜100名が同時に食事をするため、自分で食べ歩くというよりは、現地で既にアレンジされた食事を頂くことが多かったが、それでも様々な食文化に出会った。順番にご紹介。


バフェで、ジャージャーミェ〜

到着当日の夕食は、中華料理のバフェ(日本語のビュッフェ・食べ放題)。「何だ、中華か」と侮るなかれ。ずらりと並んだ中華風おかずの最後尾には、キムチが山と積まれているのだ。そして何より、韓国人はバフェが大好き。子供の誕生日パーティーなどでも、よくバフェを利用するという。「安いし、豪華だし、色んなものが食べられるし」という合理的な理由に、大いに納得。

さて、(ひ)(ま)の正面に座っていたプロフェッサー・リュウが、いそいそとどんぶりを抱えてフロアから戻ってきた。「あなた達も、これを食べてみなさい」と 手にしたどんぶりの中身を見れば、真っ黒でドロッとしたソースらしきものが、細くて白い麺に掛かっている。「これはジャージャー麺と言うのだ」。 で早速、麺コーナー(オーダーすると、その場で作ってくれる)に行き、「ジャージャー麺、下さい」と英語風の発音でお願いしてみる。すると、シェフはしばし戸惑い、「おお、ジャージャーミェ〜ね」と納得。ゆでたうどんに、炒めた野菜にテイメンジャン(韓国甘味噌)を絡めた真っ黒なソースをとろーっとかけて、一丁上がり。この、見た目と発音のインパクトがやたらと強いジャージャーミェ〜。韓国では、焼肉ならぬ<ジャジャンミョン(←正式な発音)を食べる程、仲の良いカップル>という言い回しがあるらしい。想像してほしい。黒いソースを歯や唇にベットリとつけつつ、向かい合って見つめ合える二人は、本当に相手のことが好きに違いない。 ある意味「焼肉」より明白な証拠である。

  実は、この麺料理をアメリカでも食べたことがある。作ってくれた友人は、「子供の頃これが大好きで、遠足の時はいつもお弁当におねだりしていた」と、自分の偏愛ぶりを強くアピールしていた。しかし、肝心のお味はと言うと、正直なところ、うどんと甘いソースの絶妙なバランスが、韓国料理の中で一番かも、と思うほど(ま)の口に合わないのであった。そもそも、韓国人の好きな甘い料理って、何だか反則のような気がする、…のは私だけかな。


大学の学食で、野菜中心の定食と真っ赤なカレー

学会開催中のお昼時には、学食のチケットが渡される。広大な学内の敷地を歩いて、学食のある建物へ。学生に混ざって列に並び、カウンターでご飯・スープ・小鉢を受け取ると、後はバフェ状に並んだ数種類のおかずを各自の皿に取ってゆく。ここでもキムチは山盛りだ。数種類のおかずといっても、ほとんどは野菜料理。それも和え物程度の、ごくシンプルな味付け。お肉派の(ひ)(ま)家としては少々物足りないが、さぞや体によいだろう。ちなみに、この定食のお値段は3000ウォン(約300円)也。

さて、その学食の翌日の定食で、度肝を抜くメニューが登場。(ひ)が「お、カレーじゃん。美味しそう」と受け取ったご飯は、よく見ると我々のカレーと言う概念を超越した、イイダコ入り真っ赤なカレーだった(カメラを忘れたのが残念!本当に赤かった)。一口食べるごとに強烈な辛さが口の中に広がり、(ひ)は休み休み食べている。しかし、辛いもの好きの(ま)はペロリと平らげると、残りのご飯をキムチで頂く。韓国料理はこうでなくっちゃね。

ちなみに、こんなに辛いカレーを食べつつも、韓国人は、食事中にお水やお茶を飲まない。ほとんどのメニューにはスープが付いているので、食事はそれで喉に通すとしても、食事の最後に口をスッキリさせたいとは思わないのかな、と思いきや、学食のフロアの隅に給水機を発見。よく見ると、それは食器返却口の横にあり、学生は食べ終わった食器を片付ける→コップに給水機の水を汲み一気飲み→備え付けのペーパーナプキンで口を拭き→鏡で食後の顔をチェック→学食を後にする、という見事な一連の流れを行っていたのだ! それも行儀よく列を作って。この「韓国風 食後の流儀」には感動すら覚えた。


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本日の定食 * 緑にかこまれた学食 * 学会場のPOSTECH


プルコギ屋で、おもてなしの豚バラ

学会も3日目。この日までには大方の出席者の発表も終わり、参加者の気分もウキウキと、夕食に「プルコギ屋」へと繰り出す。総勢100名強のテーブルには、沢山の小皿料理にビール、そして黒光りする焼肉用鉄板。いやがおうでも、気分は高揚する。挨拶もそこそこに会が始まるやいなや、英語を中心に、韓国語と日本語が入り乱れつつ、お互いにのグラスにビールを注ぎ、コンペー(乾杯)が始まる。(ま)の隣は、プロフェッサー・リュウ。ご先祖様は貴族、「韓国の東大」ソウル大学卒業にして、韓国でも有名な科学者。今学会の主催者でもある、偉ぁーいお方。その彼が、焼肉挟みとハサミを片手に「私は失業したら、これで身を立てようと思っている」とジョークを飛ばしつつ、大きな肉の塊を鉄板に並べ、慣れた手つきで肉の焼け具合をチェックし、ハサミで切り分け、出来上がったお肉を各人のご飯の上に載せてゆく。まさに「焼肉奉行」と化している。(ま)は、その鮮やかな手つきに感心するやら、恐縮するやら。

プロフェッサー・リュウに教えてもらい、早速美味しそうな焼肉を食べることに。しかし、簡単にはいかない。お肉一片につき、以下の手順が必要になる。まず、グリーンの葉(チシャの葉など)を片手に置いて、その上に肉を載せる。その上にコチュジャン(韓国辛味噌)を少々、さらにネギなどを細くきった野菜を上に載せる。葉をクルリと丸め、一口でパクリ。これが美味しい。お肉のジューシーさと野菜のあっさりさ、お肉の歯ごたえと野菜のシャリ感。このハーモニーがたまらない。栄養価的にも、お肉を食べつつ、野菜もしっかりと採れる、韓国らしい一品なのだ。うーん、満足満足。おなかも一杯。と思ったところに、見覚えのあるタレに漬けたお肉が運ばれてきた。「これは何ですか?」と聞くと、「これが、韓国名物プルコギだよ」「え、じゃあ、今までのは…」「あれは、単なるThree Layered Pork(豚バラ)だよ」とのこと。”食べられないほどの量をもって、おもてなしとする国”、韓国。しかし、残念ながらメインに行くまでが長すぎた。もうお腹に入らない。嗚呼、本場のプルコギを食べたかった。

その頃、同じテーブルでは、韓国人の学生(女性)が日本人の学生に酒を注いでは乾杯を繰り返している。それはビールではなく韓国のソジュ(焼酎)。韓国の乾杯では、注いで貰ったグラスは空にしなければならない(つまり一気飲み)ルールがある。その女性はクイッ、クイッ、と飲んでいるが、冷静に考えたら、アルコール度は25%で、ビールの4〜5倍はある。大丈夫なのかな、と思いきや、彼女の横で、すでに2人の日本人が潰れていた。後で聞くところによると、彼女は大学でも有名なクラッシャー(潰し屋)だそうだ。酒癖の悪さは世界共通。毒牙にかかった日本人はご愁傷様。こうして、韓国の夜は過ぎてゆく。


コンビニで、真夜中のトッポキ

今回、韓国でどうしても食べたいものがあった。それはトッポキ。屋台で売られているおやつ感覚のスナックで、棒状の「もち」を煮たもの。モチモチとした食感が人気の秘密だが、味は、真っ赤な見た目どおり激辛なのだ。特に、女子高生に人気だという。しかし、昼間は学会場に缶詰で、夜に戻るホテルの周囲には、レストランはあれど屋台は見当たらない。そこで、飛び込んだのがコンビニ。コンビは韓国食材の宝庫だ。人気の韓国海苔はもちろんのこと、コチュジャンにチヂミの粉など、アメリカで食べていた食材が気軽に買えるのが嬉しい。ついつい、カゴに入れてしまう。

果たして、目論見どおり、インスタント食品売り場で、真っ赤なカップに入ったそれらしきものを見つけた。問題は、ハングルが読めないことだ。レジにいって「これ、トッポキ?」と聞くと、店員はニコニコしていきなりパッケージをはがし、中身の小袋を開け真っ赤なソースをドロッとカップにたらし、電子レンジに入れる。何と、コンビニの店員が、調理までしてくれるのだ。割り箸でかき混ぜつつ、何度か電子レンジでの加熱を繰り返し、出来上がり。見るとカップの中に、小ぶりな棒状のもちがプルプルと真っ赤なソースに絡みつつ、所狭しと湯気を立てている。おお、これぞトッポキ! ホテルの部屋に帰るのももどかしく、口に入れる。辛い!モチモチ!辛い!モチモチ!の繰り返し。あまりの辛さに水を飲みつつ、でも食べだすと止まらない。2人で1カップを平らげ、かなり満足。この「真夜中に、コンビニのトッポキを食べる」習慣は、ホテルに滞在している間、続いた。


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これがトッポキだ! * コンビニからのお土産 * チヂミも簡単に出来るよ


疲れた塩さば 無口な海鮮鍋

学会も一段楽したある日、海外からのゲストの為に、小旅行が用意されていた。目的地は、古い建築物がそのまま残る、安東(アンドン)市の河回村。目的地まで3時間かかる予定で、我々の乗ったバスは、ポハンの市街地を抜け、くねくねとした山道を快調に進んでゆく。しかし、学会疲れの身には、これが結構堪えるのだ。(ひ)は早速車酔いし、(ま)は酔い止め薬のせいで終日うとうと。2時間たったところで、バスが止まった。昼食の時間だという。「こんな状態で、食べれるかな」と、ヨロヨロしながら、バスを降りる。

結論から言うと、この昼食は、今回の旅で最も美味しい食事だったのだ。韓国名は忘れてしまったが、「嘘法事サバ御膳」とでも訳そうか、『お上から贅沢をしないように規制されたので「法事がある」と嘘をついて集まり、食べたご馳走が起源』という料理だった。その中心になる食材は何と「サバ」。最初に出てきた塩サバは、塩加減が絶妙で、ご飯が進む、進む。魚の開き方が、日本と逆なのも面白い。次に出てきたサバ料理は、チゲ(韓国の鍋料理)仕立て。サバもさることながら、その下に隠して煮ているジャガイモなどの野菜が、サバのエキスを吸って、よいお味。唯一の問題は、食べている本人(特に(ひ))の体調。バス酔いして食欲が無い上に、あと1時間もバスに乗ることを考えると、あまり満腹にもなりたくない。「ああ、最低の体調でこんなに美味しいと思うんだから、体調が万全のときに食べたら、どんなに美味しいことだろう」と(ひ)はずっとつぶやいていた。確かに、こんな田舎のレストラン、もう二度と来ることも無いだろうな。「逃した魚は大きい」という意味でも、納得の(ま)であった。


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塩サバ 日本と開き方が逆? * チゲ仕立てのサバ * 田舎の有名店でした


結局、都合5時間ほどを移動に費やして、長い「小旅行」が終わった。しかし、一日はまだ終わらない。バスが着いたところは、壁一面に新鮮な海老の絵が踊る「海鮮鍋」屋さん。すでに店には韓国人の学生が待っており、座敷へと案内される。彼らが我々の顔た瞬間、「皆さん、すごく疲れているね」と言う通り、我々はかなり疲れていた。出てきたのは海老や牡蠣が大鍋の中で踊る「海鮮鍋」。珍しく、赤くない料理だ。しかし、(ひ)と(ま)の座るテーブルには鍋はやってこない。「もう一品、別の鍋を注文したから、ちょっと待ってね。」と、待つことしばし。そして、目の前に出てきたのは、巨大な鍋いっぱいの『真っ赤なもやし炒め』だった。海老か何かの「海鮮」が一緒に炒められていたが、実はあんまり覚えていない。疲れていたのだ…。


市場で、庶民の石焼きビビンバ

最終日、唯一の自由時間(1時間)がプサンであった。ロッテ百貨店から外に出て、さあ、どうしよう、と周りを見渡す。すると(ひ)が不思議なことを言い出した。「あそこにいる女子高生達の後をつけてみよう!」変態と思うなかれ、(ひ)によると「トレンドセッター(流行の作り手)である彼女達の行くところには、面白いものがあるに違いない」という科学的根拠があるらしい。という訳で、彼女達の向かう方向へ。ぐんぐんと歩みを進めつつ、横道へそれ、混沌とした市場を抜け、奥へ奥へと進んでゆく。帰れなくなるかも? と心配になった頃、彼女達が入ったのは「激安洋服店」。見れば、店内は若い女の子だらけ。300円程度のTシャツを熱心に選んでいる。「何だ…」と思って横を見ると、そこには簡易食堂が。ハングルは全く読めない(ひ)(ま)家だが、壁に「石焼ビビンバ」の写真が貼っているのを見て、顔を見合わせた。「行くしかないでしょう!」。

メニューを読んでもチンプンカンプンなので、写真を指差しつつ、石焼きビビンパを2つ注文する。落ち着いて狭い店内を見回せば、お母さんらしき女性が調理に立ち、かわいい娘さんがウエイトレスをしている。お客さんも、買い物途中のおばさんや若い女性二人連れが、さっと注文し、さっと食べて、買い物に戻っている。インテリアといえるほどのものも無く、色紙にハングルで「おしながき」が貼ってある。給水器からの水をペットボトルに汲んで、テーブルに置いてある。どこまでも庶民的な店なのだ。店で一番高いメニューだって、我々が頼んだ「石焼きビビンバ」3,000ウォン(約300円)。

ジュウジュウと音を立てて、石焼きビビンバがテーブルにやって来た。熱した石のボウルに、白ご飯。その上に数種類の野菜ナムルとタレ、そして目玉焼きが載っている。日本の焼肉屋で1,000円払って食べるような高級感あふれる盛り付けではない。それでいいのだ。これは、市場の中の庶民的食堂で食べる「母の味」ビビンバなのだ。 しばしパチパチという石焼きの音に耳を澄ませた後、息を吸い込み、スプーンで思い切りかき混ぜる。卵の黄身を崩し、ナムルと一緒にご飯に混ぜ込む。熱々の石のボウルに具が熱されて、かすかに香ばしい臭いがする。たまらずに、スプーンで大きくひとすくい。口に入れる。うーん、美味しい! 飾り気の無い、素朴な味。具とタレと卵の味がご飯で一体化され、胃に入ってゆく。そこで気がついた。ビビンバなんて、日本の親子丼や中華のチャーパンと一緒なんだ。ありがたがって食べる、高級料理なんかじゃない。ご飯にありあわせの具を載せて、卵を落とし、コチュジャンのタレをたらしてかき混ぜるだけの、シンプルで庶民的な料理。旅行の最後になって、飾らない韓国の食を体験したことにニヤケつつ、バクバクと食べ、お水を3杯飲み、おご馳走さま。御代は2人で6,000ウォン(約600円)ポッキリ。笑顔のかわいい娘さんに「美味しかったです。サヨウナラ」と韓国語で挨拶し、表に出ると、隣の激安洋服店では、件の女子高生達がまだまだ真剣に服を選んでいた。


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店内の「おしながき」* 石焼きビビンバ * ジュースのメニュー(らしい)


※この場を借りて、今回の旅行でお世話になった皆さんに心よりお礼申し上げます。コマプスムニダ!(ひ)(ま)家



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